私は、羽田から北京経由でシンガポールに行こうとしていました。多分、この旅行(修行)一番の大事件は、北京空港で飛行機にのれないかも・・・という事態に陥ったことだと思います(SFC修行失敗談です)。
リアルタイムで乗り遅れたことを備忘録的にブログに書いたものです。私はノートパソコンを自宅に置いていかなければならなかったので、スマートフォンからつけた日記です。一旦消して書き直そうかと思いましたが、私の書いているブログは自分の日記という位置づけなのでそのままにして、詳細を追記したいと思います。
事件は静かに幕を開けていた
羽田から北京に到着し長めのトランジット。乗り遅れを防ぐために早めに搭乗口に向かうことにしました。しかし、Wi-Fiは繋がるものの速度も遅くイマイチやることがない。搭乗口には人がいないので、とりあえず、スーツケースの中や手持ちの荷物を整理整頓することにしようと思ったあたりから事は始まっていました。
スーツケースの整理整頓
ラウンジのお姉さんがラウンジから搭乗口までかなり時間があるので早めにラウンジをでたほうがいいと教えてくれたことと、私の時計がまだ現地時刻を指していなかったこと(日本からマイナス1時間)、この2点のおかげで搭乗口には2時間ほど前についていました。
誰もいない搭乗口。無駄に広い搭乗口。いっぱいある長椅子。
私はここでスーツケースの荷物の整理整頓を始めることにしました。なんせ、出国時の手荷物検査でスーツケースの中はもう大変なことになっています。
みんないい人だったなぁなんてそんなことを考えながらとりあえず、適当に詰め込んだ荷物をスーツケースから出します。傘とか着替えとアメニティや薬や靴(アフタヌーンティーに行くつもりだったのでそれ用)などなど、機内持ち込み用のスーツケースの荷物を一旦、イスに出して詰めなおします。
・・・・・・・・・・・・。なんかない。
飛行機の乗るための何かがない。
そう、ボーディングチケットがない。
本当にない。
搭乗券がない!
さっと血の気が引いてきました。
確かに最後に見たのは・・・エアチャイナのビジネスラウンジです。なぜ覚えているかというと写真を撮ったからです。眠い眠いと眠気覚ましにラウンジで搭乗券の写真を撮っていたので、スマートフォンを確認しました。
ほらあるじゃん。
ラウンジで写真を撮っているわけなので、落とした場所はラウンジからE60搭乗口の間です。
スーツケースを何度も探してもありません。あれだけ、手荷物検査場でみんなが探してくれたチケットがない。真剣に焦り始めました。でも、焦ると心拍数が上がってパニックになる自分を私は成田で学んでいました。
この時の経験がいきているのかどうかはわからないけど、結構冷静に探せたと思います。
よし最悪、北京で泊まろう
腹をくくってゆっくり丁寧に探し始めました。この時点で時間はあと残り60分です。
この時点での私の頭の中は
- 一旦、エアチャイナのビジネスラウンジまで戻って探す
- サービスデスクに行って再発行の手続きをして貰えるかどうか聞いてみる
1と2です。
1ですが、エアチャイナのビジネスラウンジはここから歩いて20分以上かかります。その上探すとなると時間がかかるし最悪みつからないという可能性すらあります。あと1時間で戻ってこれるのかどうか。
2ですが、そもそもサービスデスクの場所がわかりません。Wi-Fiが使えない状況だったので、何も調べることができません。かといって、エアチャイナのデスクに電話しても、英語も中国語も私は全然わかりません。日本のエアチャイナに電話したとしてもそこから対応してもらったとして絶対に1時間で解決してもらえる保証はありません。
両方とも危険度が高い。乗り遅れる可能性がとても高いのです。定刻に搭乗口にいないと置いていかれるということはイスタンブールで体験済みなので、それだけは避けたいと思いました。
私の選択
もう一度だけスーツケースの荷物を出して整理しながら搭乗券を探しました。でも、やっぱり何度探しても搭乗券はありません。搭乗券を確実に落としたことを確認して、搭乗口に向かうことにしました。
とりあえず、グランドホステスさんが来るまで待つ。この時間は結構心穏やかに過ごしました。よほど頭がぼーっとしてしまっていたのかさほど焦りはありませんでした。
北京はなんとなくラウンジ野宿はできそうにないなぁ・・・なんて思いながら待つこと数分、かわいいお姉さんたちが現れました。ここからはグランドホステスさんに直接交渉(手振り身振りだけど)になります。
シンガポール行きは沖止め*1になっていて、目の前にはバスが待っています。
優先搭乗はあるんだけど、すぐエコノミーの人をいれちゃうから優先搭乗はあってないようなものです。多分、グランドホステスさんが私の命運を握っているように感じたので、なるべき嫌われないように、忙しいところ避けてお伺いをたてることにしました。
グランドホステスさんとのやりとり
もちろん、パスポートとプリントアウトした旅程表となくしたボーディングチケットの写真を出しました。
私:「私」「なくした」「これ」
お姉さん:「は???」
多分私は同じような内容を繰り返し相手に伝えようとします。相変わらずのボディランゲージです。というか実はここではボディランゲージははじめだけ。
私は、もうすでに、「I lost my boarding pass.」と言えるんです。そう、私の口癖は「I lost」もしくは「I lost my baggage.」なくし慣れちゃって「ロスト」って言葉はいい加減覚えました。悲しい話です。
お姉さん:「どこで?」
私:「多分、エアチャイナのビジネスラウンジ」
お姉さん:「ラストラストボディーチェック」
何度かやり取りをしていたら、「あっちいけ」みたいな態度をとられました。私が悪いんだけど、私の中では
「乗せてくれるの?くれないの?」
そんな感じです。なんかここまで来ると心の中開き直ってきてしまっていました。だって、空港内なんだもん。私は北京って怖いところだとずっと思っていました。でも、中国人はぶっきらぼうな言い方をするけど、何気にみんな優しいような気がし始めていました。多分、手荷物検査場のみんなのおかげだと思います。きっと乗れる乗れないにしても私が悲劇に泣きくれることはないような気がしていました(珍しく超ボジティブ)。
私の心の中
羽田から北京までご一緒したナイスミドルとの会話を思い出しました。
ナイスミドル:「中国というところは、全部、チェックされているし、チェックするから」
地下鉄使って空港の外にでてみたいと言った私にその彼は「出るならタクシーがいいよ。地下鉄なんかでもそんなスーツケース持って歩いてたらチェックされちゃうよ」そう教えてくれました。
そのセリフが本当か嘘かわからないけど、その言葉が本当なら、中国はちゃんといろんなことをチェックしているはず。だから変な武装集団とか空港入らない。多分、大丈夫。命だけは。
時間は刻一刻と過ぎ去っていく
ほとんどの人がバスに乗り終わって、掲示板をみたらファイルコールです。やっぱり乗せてもらえないのかもしれないな・・・。だって、グランドホステスさんたち、札束のようにボーディングチケット束を何回も何回も数えてるもん。多分、乗った人と予約した人の数合わせをしているんだろうと思いました。それに、発券機がありません。搭乗券のバーコードを読み取る機会がないのです。チケットは小さな劇場でもぎりという形でお姉さんが手渡しで半券をちぎっています。
さすがに乗れないという現実が近づいてくると焦ってきます。
前科あり
実は、那覇でまったく同じことをしたことがあります。その時は、自宅にiPhoneを忘れてしまって、クレジットカードから搭乗券を発券し空港内に入ったのだけど、すぐさま搭乗券を落としてしまいました。急いでグランドホステスさんになくした旨を伝えて新しい搭乗券を発券してもらいました。その時は、運転免許証と引き換えにその再発券の搭乗券を手渡しで受け取ったのでした。そう日本国内でさえ免許証と引き換えに搭乗券の再発券を行います。中国がどうだかわからないけど、再発行できない搭乗口でどうしたら搭乗券の再発行がもうそれは無茶な話のように思えてきました。
そして、最終的にどうなったか
「ラストボディーチェック?」って何?
ん? あれって、
「ラストにボーディングチェックするから待っとけ!」
の意味?
そんな気がしてきて少し期待値があがります。グランドホステスさんたちの邪魔にならないように端っこに寄りました
▼そしてその際、これを落っことしたので拾って丁寧に掛け直す
ご機嫌取り的に、落ちたボードをきれいに立てかけておきました。
なるようにしかならない。待つ。
だいぶ、人がいなくなってきて、もう残りは私だけじゃない?というような状況になりました。すると、グランドホステスさんがやっとこちらにやってきて、「写メが見辛い」というような仕草をしました。スマートフォンだから、画像を大きくしてみせました。そして、パスポートみせてと言われました。旅程表も手元にあったのですが、そちらはいいですか?あれ?いらないらしい。グランドホステスさんはあくまでも、パスポートと私がスマートフォンで撮った搭乗券の写真のみで確認をしはじめました。
パスポートと写メだけで 乗っていいとジェスチャーされた
理由はわかりませんが、一人一番年長っぽい女性があごで「いってよし」そんなポーズをとりました。いいの?乗っていいの?私が何度も確認すると
「早く乗れ(怒)」「はい」
なんとか、バスにのり飛行機に向かうことができました。
▲写真なんかを撮る余裕はあったのか・・・私
▲これから乗る飛行機
感想
イスタンブールで乗り過ごした時や成田で飛行機に乗りそびれた時ほど、正直焦りませんでした。もう自分にあきれちゃったというか・・・。
どちらかというと振り返ってみて、よく飛行機乗れたよねって、そうしたある意味すごいよねという感想が残りました。
早く早く無事に帰りたい。そんなことを考えてました。シンガポールにつく前にこんな出来事があったので、もう戦意喪失といいますか、もうお腹いっぱいになってしまっていて、これでもう日本に帰ってもいいのではないかというそんな気分でいっぱいになりました。もう二度と搭乗券を離すまい。そう心に誓ったのは言うまでもないことです。そして、ここから搭乗券は絶対になくさないで生きていくことにしようと当たり前のことを真剣に飛行機を見つめながら思いました。
パスポートをなくさなかったのは唯一の救いだったと思います。そして、搭乗券を写真にとっておいてよかった・・・とも思い・・・って搭乗券を写真に撮ったりしたからなくしたんじゃん!そんな風に自分に激しく突っ込みを入れながら飛行機に乗りました。
中国のみなさん、ありがとうございました(再び感謝)。
*1:空港の搭乗口、港の岸壁から離れた所に航空機や船舶を停泊させること。搭乗・上陸にはバスや小型船を使う。※ことバンクより引用