内田クレペリン精神検査について
本検査は、ドイツのクレペリンが考案した連続加算法を内田勇三郎が人格検査のための検査法として発展させた。
作業曲線、作業量、誤答などの特徴から、被験者の性格のゆがみや感情の動きの激しさ、周囲集中困難などを推測する。
特徴
- 実施法が簡便
- 作業検査法ため、被験者の意図が入りにくい
- 言語を用いないので、言語的ハンデを持つ者にも実施が可能
- 結果の判定に、臨床診断を目的とした個別的判定法と成績の良否を問題としたスクリーニング的判定法の両方が容易されていること
などがあげられる。集団的に実施すれば短時間に多量の処理が可能である。
検査内容について
標準型は、横に116行、縦に34行の1桁の数字が並んだものがあり、被験者は横に隣り合う数字を加算し、その答えを2つの数字の間の下に書き入れる。2桁になった場合、下の1の位だけを書く。このような方法で、前半15分、後半15分、1分ごとに行を変えながら休まずに連続加算をする。
結果の整理について、各行の加算が行われた最終個所の印刷された数字を○で囲み、これを赤い鉛筆で結ぶと作業曲線になる。もし途中で計算を飛ばした個所があるのであれば、その数は差し引く。
作業量を求めたら、誤答を確認する。各行調べ、その数を該当欄に記載する。前後半の平均誤謬量を算出する。最後、休憩効果、初頭努力効果、動揺率を算出する。初頭努力効果、動揺率は、前後半それぞれについて計算する。V型落込みの回数も計算する。
結果の読み方について
臨床診断的判定法に重きをおいて要約する。結果を判定し、臨床的解釈を行うには、健常者の作業曲線にみられる常態定型曲線についてしっておく必要がある。
被験者の意志緊張、興奮、慣れ、練習効果、疲労などの各要因も関与を考える。
また作業量、作業曲線(初頭努力、動揺率、誤謬量、V字型落込みの有無、休憩効果率など)を客観的総合的に判定するものである。
これらには臨床経験と熟練が必要とされ、最終的な解釈にあたっては、本検査のみで判断せず他の検査結果や情報と合わせて総合的に解釈することが望ましい。