昨日、仕事のお付き合いで飲み会に参加しました。そこで私がひそかに憧れているマダムケアマネ(マダムなケアマネジャー)タカコ様と話をすることができました。相談業務の神髄ともいえる名言をはくタカコ様。お孫さんがいそうな年齢ですがパワフルです。乗ってる車はベンツ。田園調布(東京でいう高級住宅街)にお住まいで国立音楽大学ご卒業。ご主人はお医者様で娘さんは高校教師で息子さんはお医者様。しかし、エコバック片手に巣鴨(高齢者の原宿と言われている場所)のおばさまファッションでいらっしゃる独特の雰囲気をお持ちのタカコ様。タカコ様の支援に対する考え方の話と「8050問題」についての話です。
困難ケースなんてものはこの世に存在しない
これが私がタカコ様からもらった名言です。
話はそれますが、みなさん「8050問題」って知っていますか?
さて福祉の時間です。「8050問題」。これは、NHKでも夏前に放送された社会問題で、「ひきこもりの長期化などにより、本人(50代)と親(80代)が高齢化し、支援につながらないまま孤立してしまう」ような問題のことを指します。
私もたまに「え?8050ですか?」なんて言い方をしてしまうことがあります。
リアルに8050問題を説明してみます
なんのこっちゃの人のために、簡単にもう一度説明します。
私が80代でもう年金暮らしです。ちょうどそのころハルさんは50代です。ハルさんは結婚もせずにニート生活を満喫して定職にも着けず引きこもりです。私はハルさんをかばい、ハルさんの引きこもり人生を自分の年金と貯蓄で支えています。80歳ですから少し頭もボケてきます。そんな私をハルさんは汚いものをみるように口もロクにきいてくれません。そしてついには、トイレに行くのも苦労する私をケリ飛ばすようになりました。私の身体はあざだらけ。区の相談員さんが訪問にきてくれますが、ハルさんが母親を殴るとは高齢者虐待にあたります。DVです。私は必死にケガがばれないように相談員さんに勧められた介護保険も使わずに家に誰もいれないようにしています。ハルさんはそんな私の思いも知らず私のわずかな年金を使って引きこもって家からでないでゲームしていたりします。家の中は散乱し、たまに私が失禁をしたりするので尿臭さえします。近所の人も私とハルさんはどうなっているのだろうと区に通報する状態です。
こうした問題を「8050問題」と私たちはよんでいます。
あまりにリアル過ぎて背筋が凍るお話です。
病院にいてもこのパターン多かったです
80代のおばあちゃんが入院してきて家族に連絡を取ろうとすると、50代でニートだったりして支払いが滞り行政に連絡をするのですが、おばあちゃんかたくなに行政の介入を拒むんですね。息子かわいさでしょうか。一番びっくりしたのは、認知症が始まってしまったであろうおばあちゃんを今後介護施設などに入所するしないの話になったとき、息子はむりやり自宅に戻そうとしたりするんですね。入所されると自分の生活費がなくなってしまうと思うのでしょうか。かたくなに自宅退院をさせようとします。だからこちらも介護保険などを勧めたりするのですが、絶対拒否です。親は子をかばいます。子は親を利用します。もう意味不明です。
気のせいかおばあちゃんと息子というパターンが一番多かったですね。
そんなときタカコ様の出番です
ぶっちゃけ、8050問題はたいてい「困難ケース」として扱われます。なぜから介入させてくれないからすでに助けようもなく困難なわけです。ここに支援が必要なときは80代の高齢者は介護保険が必要だったりするのでケアマネジャーさんが必須です。
ケアマネさんって私から言わせてもらうとピンキリです。
コイツぶっとばす・・・
と思ったケアマネさんや実際にケンカ腰にやりとりするケアマネさんといろいろありました。でも、タカコ様は一味違います。
8050問題でもターミナル(がんの末期とかね)でも、なんでもこなします。
そして言ったセリフが前述の言葉「困難ケースなんてものはこの世に存在しない」
タカコ様いわく、「困難ケースと思った瞬間そのケースは困難ケースになってしまう。だから、絶対にどんなケースであってもどのケースも当たり前のように支援を行う。絶対に困難ケースと前情報がきても信じない。そして絶対に困難ケースには出会わない。そんなものはないからだ。」
実際に、タカコ様が受け持った患者さんはたいてい問題解決しています。要するに8050問題を抱えた家族にタカコ様がうまく食い込んでいくわけです。きっとタカコ様は市区町村でも重宝されるケアマネさんであること間違いありません。
ちなみに、先月はアルコール依存症の左下肢切断された生活保護独居男性を引き受けてくれました。
タカコ様:「アルコール依存というけれど、この人が家で好きなだけお酒を飲んで心置きなく生きていける環境を作り出すことが私の役割です」
お医者さん激怒していました・・・。医者は断酒を勧めたからです。
タカコ様は、今まで手元にあった一升瓶をいきなり奪われて家に帰れと言われるのは本人に死ねと言っているようなもの。だったら、医者にかからない程度にアルコールの摂取量を一緒に話し合って決めていく。禁酒と言わないで命の危険性を減らしつつお酒との間隔をほどよいものにしていけるように支援していきたい。
なんてことをおっしゃっていました。
私とハルさんが8050になってしまったらタカコ様に支援してもらいたい
でも、私より20歳は年上のタカコ様。私が80歳のとき、ご存命であっても仕事をしているかどうか・・・。そっちのほうも問題です。
私はそんなタカコ様が大好きですが、8050問題をみんなにもっと知ってもらいたいと思っています
ハルさんはおそ松さんが大好きですが、8050問題を頭の片隅に入れて考えるとあまり笑えません
きっとおそ松さんちはお金持ちだからあんまり8050問題にはかかわらないかもしれませんが、ニートは全然笑えません。私は自分が親でこの問題にぶち当たったらどうしようと真剣に悩みますが、若い方は自分が子でこの問題にぶち当たらないようにしてもらいたいものです。みんながタカコ様のようなケアマネにあたることは絶対にありません。
しかし、先日タカコ様と話ができたのは10分。あとは知らない人たちに笑顔でお酌をしていました。帰ったのは24時です。通常の私なら22時にはお布団です。今日は22時には寝たいと思います。
タカコ様の名言をケアマネさん向けに紹介したいと思ったら、つい8050問題に熱が入ってしまいグダグダな文章になってしまいました。8050問題にだけ触れればよかったのですが、タカコ様が好きだと言いたくてこんな話になってしまいました。8050問題、あまり知られていませんが、かなり身近な問題です。試験にでるかわからないけど、社会福祉士受験生は知ってないとならないお話です。
参考までにどうぞ(社会福祉士受験生は読むべし)
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生活困窮者自立支援法の 施行状況と主な課題について - 厚生労働省
そうそう、ひとつすごい謎があります。タカコ様、なんで仕事なんてしてるんだろう・・・(豪邸は2億です)。不思議です。タカコ様、汚物処理、ゴミ屋敷掃除めっちゃお得意でいらっしゃいます。ちなみにTシャツはこないだ1,980円でいいのがあったと自慢していらっしゃいました。謎。
これからお風呂に入ってすぐお布団に入りたいと思います。
※いい感じにフィクションです。